2009‐2010年度 第1回東部研究会

開催概要

  • 日時: 2009年12月12日(土) 13:30~16:00
  • 会場: 立教大学 池袋キャンパス 12号館6階 社会調査研究室(B618)
  • キャンパスマップ:PDF  開催案内ポスター:PDF
  • 第1報告: 野尻 洋平会員(立教大学大学院)
    • テーマ: 「D.ライアンの監視社会における<消費主義>と<ディズニー化>の位置」
    • 【要旨】本報告の目的は、D.ライアンの監視社会論において、<消費主義>と<ディズニー化>というふたつの概念がどのように位置づけられているかを明らかにすることである。ライアンはこれまで、監視社会をめぐって取り上げられる広範な事例やその議論の射程の広さから、さまざまな先行研究において頻繁に言及、引用してきた。しかしそれらの先行研究では、ライアンの独特な議論のもつ理論的意義が十分に理解されてきたとはいいがたい。そこで、本報告ではまず、ライアンの監視社会論を一貫したかたちで理論内在的に再構成し、その社会学的な意義を明らかにする。つぎに、これと対比的に位置づけうると考えられる議論と外在的に比較する。これらの作業によって明らかになるライアンの理論的射程から、かれの監視社会論において<消費主義>と<ディズニー化>というふたつの概念がいかなる位相にあるのかについて結論する。
  • 第2報告: 石田 幸生(慶応義塾大学大学院)
    • テーマ: 「集住地区住民の非常時における人間関係と行為選択
      ――2007年ジャカルタ大洪水の事例研究――」
    • 【要旨】2007年2月、インドネシアの首都ジャカルタで起きた大洪水は当地における過去最悪の規模を記録した。近年、洪水による被害は毎年起こり、当地では深刻な社会問題となっている。本研究では、ジャカルタの洪水常襲地プガデガン町のある避難所での調査を通じて、洪水時における被災住民の具体的な姿に焦点を当てた。報告ではまず、避難所で見られた住民間の人間関係の形成に着目し、社会関係資本の概念を用いて論じる。次に「洪水常襲地である現住居から転居するか否か」という選択肢について、避難所での被災住民による選好と、半年後の選択と比較したい。社会関係資本には正と負の性質があること、それが少なからず彼らの選択に影響を与えていたことを説明する。また顕示選好の原則が当てはまらない被災住民について、その選択が合理的選択か、非合理的選択か、それぞれの可能性を検討する。後者の場合、既存の理論と照らし合わせて、その動機について考察する。