第58回全国大会のご案内

大会準備委員長  水原俊博(信州大学  松本キャンパス)

 第58回全国大会は、2022年9月3日(土)、4日(日)、信州大学松本キャンパス人文棟で開催されます。是非ともご参加ください。大会テーマとプログラムの概要は以下のとおりです。大会プログラム委員会では、自由論題と準共通論題の報告者、およびラウンドテーブルを広く募集しますので、下記の募集要項に従ってお申込みください。

<大会プログラム委員会>

  • 西部:鈴木純(神戸大学)、小島秀信(同志社大学)、野尻洋平(名古屋学院大学)
  • 東部:恩田守雄(流通経済大学)、鈴木康治(第一工業大学),廣瀬毅士(東京通信大学)、水原俊博(信州大学)

1.大会テーマについて

大会テーマ:「科学技術と経済社会」

テーマの趣旨

 経済社会学会の大会テーマを過去20年振り返ってみると,意外にも科学技術が取りあげられてこなかった。だが,経済社会,とりわけ現代の資本主義経済システム,ひいては現代社会に対して,科学技術の進歩は正負のいずれにおいても多大な影響をあたえてきた。そして,現在,そうした影響について学際的かつ多角的に検討すべき段階にあると思われる。こうしたことから,第58回大会のテーマとして,「科学技術と経済社会」を設定した。

 革新,新結合概念を用いたシュンペーターの資本主義論が指摘したように,たとえば,自動車の開発・普及は馬車を利用した従来の経済的・社会的活動,ひいては社会構造を一変させ,経済発展を加速させ,物質的な豊かさを実現した。現代に目を向けると,陸海空路の輸送技術,情報通信技術(IT,ICT)の飛躍的な発達は経済発展を地球規模化させるなど同様のことがいえる。そして,先進科学技術の進歩,たとえば,ジェネティック,バイオ,ケミカル,ナノテク,ロボティック,デジタル,AIなどを冠した技術革新は,コロナ禍における急速なワクチン開発やデジタル化の進展がそうであるように,今後も,直面する経済的・社会的諸課題の解決に貢献するなど,経済社会,ひいては現代社会に好影響をもたらすことが期待される。

 しかし,現代において科学技術による負の影響もまた顕著であり,それはあたかも,強い光(正の影響)が影(負の影響)を濃くしているのに似ていなくもない。たとえば,科学技術の進歩をともなう経済発展は,現在深刻化している疫病,資源枯渇・環境破壊の地球規模的拡大の解決に貢献する一方で,それらの発生に深く関与していると考えられる。また,先述した輸送技術の進歩や大都市圏をつなぐ高規格道路・鉄道網開発は経済発展に貢献してきたが,地方の経済社会の空洞化を生み出している。さらに,デジタル化は,テレワークを普及させることで柔軟な働き方を可能にし,福祉・医療サービスを省力化・自動化し,情報消費を多様化することで消費者の商品選択の幅を広げる一方,労働,福祉・医療,消費・余暇に,脱(非)人間化や孤立化をもたらす懸念がある。

 また,現代における科学技術による負の影響は多岐にわたる。いくつか挙げると,先進科学技術の開発・普及は地球規模で事業展開する著名な巨大企業が主導する傾向にあり,導入される基準やシステムは経済的・社会的活動を円滑化するなど好影響をもたらすものの,労働者や消費者はそれらに従属することを強いられ,不利益を被ることさえある。また,議論は複雑だが,先進科学技術を主導する巨大企業における付加価値の配分では,労働者よりも経営者,経営幹部や投資家が優先されやすく,経済格差拡大を助長しているとの指摘もある。

 こうしたことを踏まえ,経済社会,ひいては現代社会に対する科学技術による多大な影響の様態,特徴や構造を学際的かつ多角的に検討されるべきだと思われるが,それだけでない。こうした検討においては,経済社会,ひいては人間と科学技術との関係について,歴史的視野に立って,根本的に問い直し,従来の理論や概念を再検討し,望ましい将来像を模索することもまた重要であるだろう。こうした哲学的,思想的,歴史的な検討は,これまでも古くはアリストテレス,20世紀のハイデガーなど多くの哲学者,思想家,理論家,歴史家によって議論されてきたし,現代では,新(社会)実在論,思弁的唯物論といった思想潮流,「脱成長論」などでも議論されている。

 経済社会学会でも,科学技術と経済社会の関係について問題関心を深め,実際に研究に取り組んでおられる会員も多いように思われる。そこで,第58回大会ではテーマ化して重点的に扱いたいと考えた次第である。


2.大会プログラムの概要

共通論題について

 「科学技術と経済社会」をテーマに、経済学や社会学など本学会が拠って立つ研究領域から3名の方にご報告いただき、予定討論を受けたうえでパネル・ディスカッションを展開します。この共通論題の内容や構成についてはプログラム委員会で検討し、設定いたします。

準共通論題とラウンドテーブルについて

 大会プログラム委員会では、上記の共通論題と通常の自由論題以外にも、「準共通論題」:大会テーマに関連した論題の報告数本を1つに集めたセッション、ならびに「ラウンドテープル」:会員から提案されたテーマに即して1本以上の研究報告をめぐり、問題意識を共通する数名以上の参加者が自由に意見交換する場を設定する予定です。どうぞ積極的にお申込みください。


3.自由論題と準共通論題の報告、およびラウンドテーブルの設定について[募集要項]

 大会プログラム委員会では、自由論題と準共通論題の報告、およびラウンドテーブルの設定について下記の要領により募集します。また、本学会には、「若手研究者支援制度[唐澤基金]がありますので、対象となる会員の方は積極的にご利用ください。

(1) 報告の申し込みと締め切り、結果通知および注意事項

申し込み:

 Eメールのタイトルを「経済社会学会報告申込(氏名)」とし、氏名、所属、論題、Eメールアドレス、連絡先住所、電話番号(携帯が望ましい)を示し、論題・所属・氏名を記した「報告の概要」(MSワード形式で、600字程度、目的・方法・考察・結論を明示した内容)を添付して、大会事務局のEメールアドレスまでお申し込みください。なお、ラウンドテープソレの設定を希望される場合は、①テーマと趣旨、②報告2~3本(論題・所属・氏名・概要)、③3名以上の参加者(報告者を含む)を添えてお申し込みください。

  • 締め切り:2022年4月21日(木

結果通知:

報告の可否については、大会プログラム委員会にて、提出された「報告の概要」をもとに検討したうえで、6月上旬の東西合同役員会終了後、6月下旬までに、報告の日時および座長・予定討論者などと合わせてEメールにてお知らせします。

注意事項:

  1. 原則として、申し込み後に論題および報告者の変更・追加はできませんので、ご注意ください。
  2. 会費納入について:今年度(2021年9月~2022年8月)までの会費を完納していることが報告の前提条件となります。
    • 会費が未納の方には、このニューズレターとともに会費請求書と払込用紙が同封されています。
    • 非会員の方は、4月末までに入会手続きと会費納入を完了してください。入会手続きおよび会費納入先は、下記の学会HPをご覧ください。また、その場合は、報告申し込みのメールに「入会手続き中」である旨を明記してください。
    • 経済社会学会「入会」(https://soes.info/join)
  3. 「若手研究者支援制度[唐揮基金]」の適用を希望される場合は、全国大会報告の申し込み時に事前の申請が必要ですのでご注意ください。なお、この制度について、詳しくは経済社会学会「若手研究者支援制度[唐澤基金]」(https://soes.info/karasawa)をご覧ください。

(2) 報告要旨の提出

 報告要旨集を作成しますので、報告される方は、その原稿を以下の作成要項に従って作成し、2022年7月21日(木)までにEメールにて大会事務局にご提出ください。

報告要旨の作成要項:

 分量はA4版4ページ以内(図表含む)。MS Word形式で作成された文書(.docx)で、書式はフォント:MS明朝10.5ポイント、改行幅1行、ページ番号なし、余白:上下左右30mm。論題1ページ上段中央、氏名(所属)は次の行右端。

(3) 発表原稿の提出

 報告される方は、上記の報告要旨以外に、大会で発表される報告内容の詳細や議論の流れを把握できる「発表原稿」(フルペーパー等)をEメールにて2022年8月18日(木)までに座長・討論者・大会事務局にそれぞれご送付ください。

(4) 発表原稿等の配布

 報告される方は、「発表原稿」ないしはそれをもとに作成された報告資料を印刷したものを用意し、会場で配布してください。

なお、社会情勢を鑑み、オンライン開催となる可能性があります


問い合わせ・提出先

〒390-8621 松本市旭3-1-1
 信州大学人文学部 水原研究室気付
 経済社会学会第58回全国大会事務局

Email: soes22アットマークshinshu-u.ac.jp


第58回全国大会については、以下の大会ページをご覧ください。随時情報を追加します。

https://sites.google.com/view/soes2022/