第41回 全国大会(2005年)
開催概要
- 共通論題:多元社会のガバナンス ―― 貨幣・コミュニケーション・規範 ――
- 開催日: 2005年9月17日-18日
- 開催校:同志社大学 今出川キャンパス
- プログラム
経済社会学会第41回全国大会プログラム
2005年9月17日(土)、18日(日)
【共通論題テーマ】
多元社会のガバナンス ―― 貨幣・コミュニケーション・規範 ――
国家であれ、地域であれ、組織であれ、宗教的信仰・道徳的規範・文化的価値などの面で多様な価値基準をもった人々が日常的・恒常的に構成員となるという時代の流れは、不可逆的な過程であるように思われる。また、そうした多元性・多様性に積極的な価値を認める点では、ほとんどの人々が一致しているようにも思われる。しかし同時に、人々の集まりがかりにも「社会」と呼びうるためには、そこには自生的・人為的を問わず一定の秩序(あるいは統治状態)が生成されていなければならない。多元性の確保と秩序の生成という二つの課題を同時に解決する原理が求められていると言えよう。
市場における競争が「見えない手」に導かれて、その課題を解決するという牧歌的な主張が、現代の市場社会が抱える問題に取り組むに当たって、ほとんど解決になっていないことは、いまでは衆目の一致するところであろう。また同時に、人為的に計画され運営される社会システムへの信服はそれ以上に破綻していることも紛れのない事実である。貨幣に媒介される市場交換を資源配分機構として用いながらも、なおそれに従属しない「人間の経済」を構築する方向性が、残された選択肢であるように思われる。
実際、ポランニー的に表現するなら経済の社会への埋戻しとして理解できる試みが、数多くなされている。たとえば地域通貨の導入の試みは、貨幣的交換という自己組織的過程を地域の中に埋め込もうとする点で、非常に興味深い試みである。またNPOやNGOなどいわゆる「社会的経済」なる組織形態への関心の高まりもあげられる。さらに経済や行政のパフォーマンスそのものが、非市場的に形成されるネットワークとしての「社会関係資本」に大きく依存しているという事実の発掘も看過できないだろう。市場固有の働きを生かしつつ、しかしそれに呑み込まれない社会統治(ソーシャルガバナンス)を生成するオートポイエティックな仕組みを解明していくことが、経済と社会の境界領域を研究する者に課せられているアジェンダの一つであるように思われる。
過去数年の本学会の共通論題を通覧すれば、こうした問題意識が底流にあったことが明らかである。「二元的秩序の超克-市場と国家を超えて-」、「第3の道の経済社会学-Good Societyの原理を求めて-」、「市場から社会へ-ソーシャル・キャピタルの再構築」といったテーマは、いずれも市場経済に依拠しつつも、市場に呑み込まれない多元社会のあり方を模索したものである。今大会では、その問題意識をさらに前面に出し、多元社会の秩序を可能にする原理を考えてみたい。とりわけ社会統治の生成に当たって貨幣・コミュニケーション・規範が果たす役割に焦点を当てることができればと願っている。
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開催地: 同志社大学今出川キャンパス
〒602-8580 京都市上京区烏丸今出川東入ル
大会事務局: 同志社大学商学部 森田雅憲 研究室
(TEL) 075-251-3717(または 070-5507-0437)
(e-mail) mmorita@mail.doshisha.ac.jp